平成30年度税制改正大綱決定

 自民党と公明党は平成28年12月14日平成30年度の税制改正大綱を決定しました。個人にとっては年収850万円超の会社員への所得税増税やたばこ税の増税で約2800億円の増税となります。一方法人は賃上げや生産設備向上のための減税が拡充された一方、これらの要件を満たさない企業には税の優遇措置が適用できないなど増減税がほぼ同額の税収中立となっています。下記に税制改正大綱の概要の一部を載せています。なお、今後の国会における法案審議の過程において、一部項目の修正等が行われる可能性がありますので、ご留意ください。 

 

計   

所得控除の見直し

1.給与所得控除

  控除額が一律10万円引き下げられます。給与等の収入金額が850万円超の場合、その給与所得

  控除の上限額が195万円に引き下げられます。ただし、子育て世帯、介護世帯にには負担増が生

  じないように配慮されます。

2.基礎控除

  控除額が一律10万円引き上げられます。合計所得金額が2500万円を超える人については基礎控

  除が適用できなくなります。高額の年金収入を得る高齢者については公的年金等控除が引き下

  げられます。

たばこ税の見直し

  「紙巻たばこ」が平成30年10月から4年間かけて、1本あたり3円増税されます。「加熱式たば  

   こ」も、5年間かけて段階的に増税されます。l

国際観光旅客税の創設

  日本から出国する観光客等に対して、平成31年1月7日以後の出国から、出国1回につき1,000円

  の国際観光旅客税が徴収されます。

森林環境税の創設

  地方の固有財源として、平成36年度から課税されます。市町村が個人住民税均等割と合わせて

  年額1,000円の賦課徴収を行います。

企業 

 

 事業承継課税の見直し

 10年間の特例措置として、各種要件の緩和を含む抜本的な拡充が行われます。

・納税猶予対象の株式の制限(発行済議決権株式総数の2/3)を撤廃し、納税猶予割合が80%から

 100%に引き上げられます。

・雇用確保要件が弾力化されます。

・株価が下がれば差額が免除される減免制度が創設されます

賃上げ税制及び生産性向上のための税制

 1.所得拡大促進税制の見直し・拡充

  平成30年4月から3年間、賃上げや設備投資を一定割合以上行った場合には、給与支給増加額の

  15%の税額控除、さらに教育訓練費の増加要件を満たす場合には20%の税額控除が認められま

  す。中小企業については、一定の要件を満たす場合に、給与支給増加額の最大25%の税額控除

  が認められる制度になります。

 2.情報連携投資等の促進に係る税制(IoT税制)の創設

  企業内外のデータを連携・高度利用することにより、生産性の向上を図る一定の要件を満たす

  情報連携投資を行った場合、設備等の取得価額について特別償却(30%)又は税額控除(5%又は

  3%)ができる措置が講じられます。(3年間の時限措置)

 3.租税特別措置の適用要件の見直し

  所得が増加しているにもかかわらず、賃上げや設備投資を殆ど行っていない大企業について、

  生産性の向上に関連する税額控除(研究開発税制等)の適用を行わないこととします。(3年間の時

  限措置)

 4.中小企業の設備投資支援

  中小企業の一定要件を満たす設備投資については、固定資産税を1/2から0まで軽減するこ

  とを可能とする特例措置が創設されます。(3年間の時限措置)

その他

 ・交際費の損金不算入制度の適用期限が2年延長されます。

 ・欠損金繰戻還付の不適用措置の適用期限が2年延長されます。

 ・中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限が2年延長されます。

 ・組織再編税制の適格用件等が一部見直されます。